発達相談室アズ

   Be happy as an AS boy/girl.

こどもの心

卒業シーズン

気がついたら、もう3月!
今年も多くの生徒さん達が学校を卒業し、新入生として4月を迎えます。

地元の小・中学校に進む子、
特別支援学校の小・中・高等部に進む生徒、
高等特別支援学校に進む生徒、
通信制高校や私立の普通中学校に進学する生徒もいます。
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専門学校に上がる生徒や、
学校はそのままで、より上のクラスに挑戦する生徒もいます。

みんな本当に頑張っている。
この時期は毎年、自分が「火の鳥」になったように感じます。
みんなの成長をずっと見守り続ける「火の鳥」に。

アズの自慢は、
生徒たちが自分を肯定して、どんどんいろいろなことに挑戦していくこと。
自分を持ち上げすぎて、こけてしまったっていいじゃない。
失敗したらまた調整すればよいのだから。

まずはやる気になること。

今年も、そして来年も、変わらずに応援しているね。

成長すること

アズでは、こどもたちに会える頻度は月に1、2回。
夏休みなどもあり、学校の先生方やお母様たちと比べると少ないですね。

会う回数が少ないこともあり、
接する時間をとても大切に思っています。

そんな中、「わー、すごい。こんなこともさらっとできちゃうんだ。いつのまに?」
など、感動させられることがよくあります。

こどもと向き合うことが生活の多くの時間を占めているお母様方・・・・
日々、目の前の課題に追われて、
こどもの小さな成長に気づくことができずにいることも、ありませんか?

そんな時、こどもの生まれた頃のアルバムなど見返したりして、
自分たち親子を客観的に見る時間があると、やさしい気持ちになれるかも。

横浜市の教育委員会が行なう学習支援員育成活動での講義で、
明星大学の星山教授は

  
「人間は一生発達し続けます」

と言われています。(もちろん私達も、その親も)

アズでは、これからも、こどもたちの一歩ずつの伸びに気付き、
ともに喜び寄り添っていきたいと思います。          (田尾)

T君がしゃべった

1年半前ここに登場したT君(小6)が、ついに話せるようになりました。
先日(2014年5月)発した一番長い文は
  
  「キーボード見てもいいですか?」

ここまでの道のりを見ると、、

2013年 7月  ひらがな単語が書けるようになった。

2013年 8月 「バ」のみ発音  この「バ」は「番田(駅)」の「バ」


2013年 9月 「バ・ン・ダ」「フ・ダ」と発音  両方とも駅名

2014年 1月  いきなり、、ひっきりなしにしゃべる
          「ハチマンヤマ マチダ ツウカ 3コ オヤスミ、、」
 
2014年 3月  「ヤケド アツイ シマウ オワリ ステル、、」

2014年 4月  3語程度をつなげて話す。
          「オトナニナッタラ イタイ! コンドステル、、」

2014年 5月  「キーボード見てもいいですか?」

生まれて初めて発した言葉が「ママ」ではなく「番田」だったなんて
いかにもT君らしいです。
しかもまず文字が書けるようになり、その後ことばが出るとは。

自閉症の子の発達は、まさに
非定型です。

実は今もうひとり、
6年生になって初めて自分のフルネームを言えることができた子がいます。
このM君の場合、大好きなことは「JOY POLIS CARROZZERIA Sammy,,,」
などのロゴです。
話はできないけれど、パソコンのタイプはできるのです。
彼も「言いたいこと」ができてきて、「伝えたい」気持ちになってきたようです。

この「伝えたい」気持ちを教えることは本当に難しいです。

わたしたちにできることは、
徹底的に本人の好きなことや興味のあることにつきあうこと。
「発語」にこだわる必要はありません。でも
「伝えたい」大人であることには、こだわりたいと思います。

こどもが「伝えたい」「わかってほしい」と思える大人に
わたしたちは なっているのだろうか。
「伝えたい」気持ちがまだ「タネ」のままのこどもをみると、
そう反省させられます。




気持ちを切り替える

 「ほんのちょっとしたことで、暴言をはいたり物を投げたりするんです。」
 「すぐに『死んでやる』『ボクなんかいない方がいいんだ』って言うんです。」
 「そうしてひと暴れした後は、何事もなかったようにケロッとしているのだからイヤになります。」

小学校、あるいは中学校の2年生頃までは、こういうことが本当に多くあります。

そんな中のひとりだった中3のK君。
小学校の頃は、イライラし始めると30分近くもトイレにこもることがザラでした。
でも今日は、、、
1分間机にうつぶせになって、ハイおしまい。
なにかふっきれたような顔で勉強続行。
見事に1分間で気持ちを切り替えることができました。
すごい!

彼の親御さんや私がしてきたこと、それは
・混乱した時にそっとしておくこと
・あとで思い出させたり責めたりして、恥をかかせないこと

即効で身につくソーシャルスキルも勿論あるけれど、
深いところの気持ちって、数回のトレーニングで変わるなんて簡単なものではない。
実は、こんな日々の信頼関係を築くことが
結局は長持ちする、本当のソーシャルスキルトレーニングなんだって、
しみじみ感じさせられたひとときでした。


家庭生活のためのチェックリスト(1) 場所の構造化

保護者の方からの相談で一番多いのが、
宿題や朝のしたく、入浴、片付けに
「とりかからない」ことです。
何度言っても始めない。
中でも宿題は、最悪。
時間を決めてものらりくらり。約束を書くといやがる。
ゲームばっかり。テレビの前から離れない。
言われれば言われるほど意固地になり、親はますますイライラ、、、、、

学校やアズなど、家以外の場所ではスケジュールどおりに動くことができるのに、
なぜ、家ではできないのでしょう?
親に反抗しているから? なまけものだから?

いえいえ、困った時はまず基本にかえることが大切です。

自閉症療育の基本中の基本であり
TEACCHの最大の功績「構造化」について少しずつ考えていきましょう。

<場所の構造化>
   ・食事の場所、遊ぶ場所、勉強する場所を分けてありますか?
   ・まわりに気が散るようなものが、置いてありませんか?
   ・家の中の、整理整頓ができていますか?
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自閉症の人はすべての面で「1対1」の考え方をします。        Pasted Graphic
だから「学校=勉強する場所」
   「家 =くつろぐ場所」
であり、
   「学校ー勉強する場所 且つ くつろぐ場所」は難しいし
   「家 ーくつろぐ場所 且つ 勉強する場所」も難しいのです。

別に自閉症の人だけではありませんよ。
定型発達の大人だって、家に持ち帰って仕事をするのは至難の業。
持ち帰っただけで、結局やらずじまいなんていうこと、ありませんか?

それをどうしてこどもが、しかも自閉症という課題を抱えた子が簡単にできようか!
まずは、「すご〜く難しいことなんだ」ということを、わかってあげましょう。
そして生活全体を、点検してみましょう。

「難しい」という前提にたてば
 ・宿題ははまっ子で済ませてくる
 ・テスト勉強は塾に任せる
 ・楽勝でできる宿題だけ、出してもらう
 ・学習机の横にパソコンがあるなんて、もってのほか
 ・勉強道具しかない場所を用意する

などという具体的な方策をたてることができます。

できないことを「心の問題」にしていると、お互いにイライラします。
できないことを「特性の問題」にして共感し、一緒に考えていくと、こどもは伸びます。



無理をさせない について

「無理をさせない」方がよいこと、ずいぶん広まってきました。

でも一方で「無理をさせない=甘やかしです」「もっとできるはず」「がんばればできます」
そう言われて自信を持てなくなるお母さん方も、まだ大勢います。

なぜそんなことが起きるのでしょう?

それはこの言葉が「させない」という否定型で語られるからです。
それが学校の先生の反発を買うのです。
でも実は「させない」のではなく「少しだけ頑張らせる」という意味なのですよね。本来は。

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あることを達成させたい時の目標を「5」とします。
そこに到達する道は2つあります。
ひとつは「1+1+1+1+1=5」
もうひとつは「10−1−1−1−1−1=5」

結果は同じ「5」ですが、成し遂げた時の自己評価はまったく異なります。
なぜなら
前者は「できることの積み重ね」の結果としての5
後者は「できないことを引いた」結果としての5
だからです。

定型発達をしている人は、目標を「5」に設定すれば
そこに到達するまでの道筋を計画することができます。
たとえ今はできなくても、そのうちできるようになるさと楽観的に見ることもできます。

でも自閉症の人は、道筋を計画することが苦手です。
失敗すると、どうすれば成功に向かうことができるのか計画ができないため、
あたまが混乱します。
99%できたのに、たった1%の失敗で、あたかもゼロになったように感じて
落ち込むこともあります。

だから「無理をさせない」方がよい。
いえいえ「ちょっと頑張らせる」のが成功への近道なのです。

もうひとつ言えば「無理をさせない」というのはただの「方法」です。
同じく「無理をさせる」ことも、ただの「方法」です。
目標でもなんでもありません。

目標と方法とを混同せず、正しく「頑張らせる」ことができるとよいですね。

  ところで、大嫌いな宿泊学習を「無理せず」日帰りで積み重ねてきたK君。
  中3の修学旅行は、自分から普通に泊まると言い、それを実現しました。
  明日その修学旅行の報告を聞く日。
  楽しみだけど、ちょっぴりドキドキ。



リセット

とても嬉しいことがありました。
アズに通い始めて6年目のHちゃん。
初めてきちんと文字を書いてくれたのです。

今の学校に転校するまでは、それはそれはピリピリしていて、
鉛筆を持つ練習ができる状態ではなかったのです。

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前の学校も熱心に指導して下さっていたのですが、
Hちゃん自身、同じ学校では変わることができませんでした。

でも転校することで、リセットできたのでしょう。
みるみるうちに変化していきました。
そして2年。これほどまでできるようになるとは!

今の時期はリセットのチャンス。
進級や進学、就職が、そんな機会になりますように







                      

中学生 1年生と3年生

来年3月、アズでも何人かの生徒が中学校を卒業します。

中学1年生と3年生とでは、別人のように変わりますね。

小6の頃は、アズでも学校でも少しの刺激で崩れていたT君、
中学校は怖いところだから行かないと、ダダをこねていたG君、
ひとりで買いものしたことすらなかったMさん、
難関校に、何の努力もなしに入れると信じていたM君、、、

みんな中3になった頃から、
真剣に自分の生き方と向き合うようになってきました。
銀色卵
今の自分に向いている学校を選び、
そこに入るための努力をする。
そして進学。

こんな日が来るとは、まわりの誰もが思っていなかったのではないでしょうか?

もちろんまだまだ道はこれからですが、
でも、努力が報われる経験をした人は強い。
そして、等身大のこどもを受け入れ、支えてきた親御さんたちも。
きっとこれからも、いろいろなことを乗り越えていけることでしょう。

   アズは28日まで行ないますが、ちょっぴり早い「よい年を!」     
                                          
最近はまっている銀色卵の実験。
                                             小3のY君に教えてもらいました。



一番先に捨てるもの

3週間前に復調した彼の調子が、ほんの2〜3日ですがくるってしまいました。

問いかけても返事は全くなし、家でも暗い部屋のすみでじっとしている、
好きなことしかしない。
どうも、クリスマス会に行きたくないこと、
お父さんにしかられたことなど、いろいろと重なったらしい。
そういう時にどうなるか?
「一番先に捨てるのは、コミュニケーションですよね」
というのがお母さんの弁ですが、これは名言。

心が不調の時はこだわりが強くなる、とよく言いますが、       
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考えてみれば、心にゆとりがなければ
一番先に捨てるのは、苦手なこと=コミュニケーション
唯一できるのは得意なことや好きなこと。これがまわりにはこだわりとうつる。
当然のことですね。

コミュニケーションって、それほどエネルギーが必要なことなんですねえ。
やっぱりコミュニケーションにエネルギーを振り分けてもらうには、
心にゆとりを作るのが一番、ということです。

ところで彼は今回は、すぐに復調。
クリスマス会が重荷になっていると気づいた、お母さんのお手柄でしょうね。


棒人間アニメ

T君がDSのソフトで作ったアニメ、第2弾です。
今回は、1コマずつ絵を描いて作りました。
短いけれど、You-tubeにアップされているものと遜色ない出来上がりです。

感心したのが、足の描き方。
どのように描けばキックしているように見えるのか、
手でパンチしているように見えるのか、
彼が描いているのを見て初めて知りました。
画面下の○を少しずつ動かしていくと1コマずつ見えるので、
お時間のある方は、チェックしてみて下さい。


コミュニケーション

驚かされることの多い毎日ですが、
T君の成長にもびっくり仰天。

T君は話し言葉がほとんどない4年生の男の子です。
でも、彼には話し言葉なんて必要ないのです。
だって彼は絵、ジェスチャー、数字でちゃんと伝えたいことを伝えることができるのですから。

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この絵のジェスチャーを翻訳すると 
「帰りに、ふみきりを見たいな。電車も見たいな。」
「電車の動画を6つ見せて。」
「10月6日はアズだよね。25日は校外学習だよね。」
です。

ここまでも充分すごいけれど、先日来た時には
i-Padの50音入力で「おだきゅうせん、ふみきり、えびな」とタイプして

漢字変換して、動画を検索できるようになっていたのです!
思わず夢ではないかと、目をこすりましたよ。

希有な例とは思いますが、それにしてもこどもの可能性は限定してはイケナイ。
またまたこどもに教えられた1時間でした。

まだ駅と電車名だけですが、そのうちに
「こんど、せんせいもいっしょに せたがやせんに のろう」
なんてタイプされたらどうしよう? 
気絶してしまわないように、今からこころしておこうっと。


心を占める

先日、嬉しいことがありました。
M君のひとり言が少なくなり、ことばでのやりとりがスムーズにできるようになったのです。

今年の6月以来ひとり言が増え、極端な時には体の動きも止まってしまう、
呼吸すら止めているのではないかと思えることもありました。
当然、会話にはなりません。
おまけに体重は減る、好きだったお料理もせずひたすらDVDばかり見ている。
本来はこんな子ではなかったのに、、、、
彼の中にいったい何がおきているのか?
思春期だから? それとも発作? 友だち関係で辛いことでも?
お母さん共々、本当に悩みました。

そしてついにそれが完全にではないものの、終わる日が来たのです。
その日とは? 
なんと!中学校の校内合唱コンクールの日だったのです。
これが終わった日の彼の顔のすがすがしいこと、会話もできる。なあんだ、これだったんだ!
!!!!をいくつつけても足りないくらいです。

そう言えば、6月ごろから10月の合唱コンクールのことがぼちぼち話題になっていたとか、
小学校の頃も、学習発表会の後にひとり言がすごかったとか、
思い当たることは多々あります。
それでも、これほどコンクールが彼の心を占領していたとは、本当に驚きでした。

ストレスというのとは違うのですよね。
心の中を占領されていた、だから他のことをする余裕がなかった、そんな感じなのです。

おそるべし人の心。

LBX

知的にはとても高いのですが、家族以外の人と過ごすことが苦手なT君。
今の課題は、先生と楽しく過ごすこと、要求をきちんと伝えることです。

前回、やりたいことを伝えられないまま終わってしまい、
帰り道、機嫌が悪かったそうです。

そこで今日はあらかじめ、一緒に勉強の計画を立てようと伝えておきました。
するとT君、家からこのLBXを持ってきました。
DSのアニメ作成機能を使って、アニメーションを作ろうというのです。
サポートしてくれたお母さんと、勇気を出して要求を言えたT君、両方とも素敵です。

おかげでご覧の通り、アイデアを出し合って、短いけれども臨場感あふれる作品を作ることができました。

ひとりもいいけれど、だれかと一緒に作り上げるのも楽しい。
そう感じてもらえたらうれしいな。




6年ぶりのHP更新

なんと! 6年ぶりのHP更新です。
毎日走り続けていたら、いつのまにか6年も経ってしまったという感じ。

しかもブログのタイトルNo.1「炭酸飲料」を5月に書いておきながら、それからまた3ヶ月。
どれだけ続けられるやら。

でも、こどもたちの魅力は是非みなさんに伝えたい。
ぼちぼち書いていくこととしましょう。