発達相談室アズ

   Be happy as an AS boy/girl.

結晶ツリー

オーナメントに続いて、尿素の結晶ツリーを作りました。
捨てることが苦手なこどもたちが多いので、
基本的には、作ったものは持ち帰らせません。
でも、結晶だけはできるまでに一晩かかるので、
持って帰らざるを得ません。

以下は、生徒達の家庭から届いたツリーの画像です。
洗濯のりや洗剤の微妙な量で、結晶のでき方が変わるのがわかって
おもしろいです。

みんな、どんなクリスマスを過ごしたのかなあ?

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最後の1枚はお正月飾りに雪を積もらせたもの。
これはまたこれで、きれいですよね。
 (あ〜 どうしても画像を回転させることができない。
          せっかく送ってくれた方、ごめんなさい)


平成25年のアズは、これでおしまい。
来年も、よろしく。

魚の解剖

つねづね感じていることですが、
個別級で学習していると、
通常級の生徒に比べて、経験の幅が狭くなりがちです。

6学年もの生徒たちがいるので、仕方がない面もありますが、
せっかくの二度とないこども時代です。
もっと驚きや感動を味あわせてあげたいと思うのです。

自立課題だって、できればよいというものではありません。
訓練ではないのですから、やはり楽しくないといけません。

ということで、このところ高機能の生徒に魚の解剖を体験させています。

臭いや触覚に過敏な生徒もいますが、
どうしても魚にさわれないという生徒は、
今のところ、ひとりもいません。
興味が感覚過敏を上回る、あるいは
興味関心で、感覚過敏を乗り越えていることがわかります。

そして不思議なことに、生徒によって毎回新しい発見があるのですよね。
写真の標本は、アジの浮き袋をほぼ原型のまま取り出せたもの。

この他にも、アジの脳をこれまた原型のまま取り出すことに成功した生徒もいました。
それは感動的でした。
      
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解剖の後は、もちろん刺身にしていただきま〜す。
これはさすがに食べられない生徒もいますが、これは仕方がない。
私がおいしくいただきます。

クリスマスのオーナメント

今年の年末は、クリスマスツリーのオーナメントを作ることにしました。

それぞれのこどもの能力や興味に合わせて
いろいろなものを作ることができるので、
便利です。

まずは、デンマークのオーナメント「ユーレヤータ」
これは小学生以上の女の子向けの教材。
非常勤の大久保さんのお母様に教えていただきました。
さらにデンマークのサイトを検索すると、
なんと! 27個もの型紙が掲載されていました。
       
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それからこれは私のアイデアですが、
卓球ボールにきれいな画鋲をさしただけのオーナメント。
手作業のよい練習になるし、出来上がりもきれい。
久々のヒット教材です。
あらかじめ卓球ボールに印をつけておけば、
あとは画鋲をさすだけなので、ローファンクションのこどもたちにもできます。   
        
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そしてLa-Qで作る☆。
La-Q入門期のこどもにピッタリです。

来週から、ハイファンクションの男の向けに
尿素で雪を作るつもり。

みんなで飾ったツリーで、ハッピーな新年を迎えたいと思います。


めくり式手順書「ズーブ」

わたしたちは何かものをつくる時に、手順書を使いますね。
おりがみ、ブロック、お料理、編み物、プラモデル、、、
ゲームのマニュアルや電化製品のセッティングにだって使います。

今回は、一番よく使う「めくり式手順書」を紹介します。
このところよく使っているのが
「ズーブ」というブロックの手順書。
できあがり見本やリスト式の手順書よりも、はるかにわかりやすいです。
             
                 ▶をクリック



写真+ひとつひとつの指示を使う場合もあります。

どちらにしても、自分でわかってできた!
という喜びを感じてほしいと願っています。


家庭生活のためのチェックリスト(1) 場所の構造化

保護者の方からの相談で一番多いのが、
宿題や朝のしたく、入浴、片付けに
「とりかからない」ことです。
何度言っても始めない。
中でも宿題は、最悪。
時間を決めてものらりくらり。約束を書くといやがる。
ゲームばっかり。テレビの前から離れない。
言われれば言われるほど意固地になり、親はますますイライラ、、、、、

学校やアズなど、家以外の場所ではスケジュールどおりに動くことができるのに、
なぜ、家ではできないのでしょう?
親に反抗しているから? なまけものだから?

いえいえ、困った時はまず基本にかえることが大切です。

自閉症療育の基本中の基本であり
TEACCHの最大の功績「構造化」について少しずつ考えていきましょう。

<場所の構造化>
   ・食事の場所、遊ぶ場所、勉強する場所を分けてありますか?
   ・まわりに気が散るようなものが、置いてありませんか?
   ・家の中の、整理整頓ができていますか?
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自閉症の人はすべての面で「1対1」の考え方をします。        Pasted Graphic
だから「学校=勉強する場所」
   「家 =くつろぐ場所」
であり、
   「学校ー勉強する場所 且つ くつろぐ場所」は難しいし
   「家 ーくつろぐ場所 且つ 勉強する場所」も難しいのです。

別に自閉症の人だけではありませんよ。
定型発達の大人だって、家に持ち帰って仕事をするのは至難の業。
持ち帰っただけで、結局やらずじまいなんていうこと、ありませんか?

それをどうしてこどもが、しかも自閉症という課題を抱えた子が簡単にできようか!
まずは、「すご〜く難しいことなんだ」ということを、わかってあげましょう。
そして生活全体を、点検してみましょう。

「難しい」という前提にたてば
 ・宿題ははまっ子で済ませてくる
 ・テスト勉強は塾に任せる
 ・楽勝でできる宿題だけ、出してもらう
 ・学習机の横にパソコンがあるなんて、もってのほか
 ・勉強道具しかない場所を用意する

などという具体的な方策をたてることができます。

できないことを「心の問題」にしていると、お互いにイライラします。
できないことを「特性の問題」にして共感し、一緒に考えていくと、こどもは伸びます。



「高校生活を語る」会

7月のおわり、アズで勉強している高校生たち5名に
高校生活を語ってもらう会を開きました。
発表者も含めると、参加者23名。
あたたかい雰囲気の会になりました。

5名とも、小学生の頃からアズに通っている生徒たち。
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思い起こせば、いろいろなことがあったなあ。
  学校に何年も行くことができなかった子、、、
  少しでも失敗すると、自分の頭をたたかずにはいられなかった子、、、
  中学まで、ひとりで買いものをしたことがなかった子、、、
  毎日毎日、友だちができないことを嘆いていた子、、、
  運動会の後かたづけで、フリーズしていた子、、、



でも今は、毎日元気で高校に通っている。
経験した辛いことを栄養にして、たくましく生活している。
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そしてこうして、大勢の人の前で発表できる。
予期せぬ質問にも、堂々と答えることができる。
 「学校へ行く途中、電車が遅れたらどうしますか?」
 「ゼミって、どんなことをするのですか?」
 「中学時代、塾には行っていましたか?」
 
まだ大人というには早いけれど、本当によくここまでになりました。
お母さんお父さんが、発達の可能性を信じて
その時々に、一生懸命に関わってきたからこそです。

来年の彼らは、きっとまたもう一歩前進しているに違いありません。
こどもってすばらしい。人間て素敵。
来年が楽しみです。


頭をやわらか〜く

おもしろいブロックを手に入れました。
名前は「Wegits」 ウェジットとでも読むのでしょうか?

こどもは基本的に「積む」ことと「はめこむ」ことが大好き。
その2つを満足させる、優れたおもちゃです。
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中高校生や大人は、より複雑な組み合わせ方を工夫することもできます。      
   
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大小の四角を組み合わせるだけなのですが、
思考がかたいと、なかなかうまく積めません。
横においたり、縦においたり、浮かせたり、はめ込んだり、
         頭をやわらか〜くして、
ものごとを、今までとは違った角度から見る楽しさを味わってほしいと思います。
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こどもに関わる私達みんなに、それを楽しむ力は必要なのですけれどね。








短歌のコーナー(6)なんで 怒ってる?

   <親の気持ち>        <こどもの気持ち>
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      一緒にいる時が長ければ ダメなところが目について 
      いちいち腹をたてがちに。
      ひとつのことからあれこれと 親の気持ちがふくれれば、
      こどもの気持ちは しぼんでく 何がなんだかわからずに
      悲しい記憶だけが残ります。
      ダメなところにこだわっているのは 本当は親の方ですね。
      向き合いすぎずにクールダウン とても大事なことですね。


無理をさせない について

「無理をさせない」方がよいこと、ずいぶん広まってきました。

でも一方で「無理をさせない=甘やかしです」「もっとできるはず」「がんばればできます」
そう言われて自信を持てなくなるお母さん方も、まだ大勢います。

なぜそんなことが起きるのでしょう?

それはこの言葉が「させない」という否定型で語られるからです。
それが学校の先生の反発を買うのです。
でも実は「させない」のではなく「少しだけ頑張らせる」という意味なのですよね。本来は。

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あることを達成させたい時の目標を「5」とします。
そこに到達する道は2つあります。
ひとつは「1+1+1+1+1=5」
もうひとつは「10−1−1−1−1−1=5」

結果は同じ「5」ですが、成し遂げた時の自己評価はまったく異なります。
なぜなら
前者は「できることの積み重ね」の結果としての5
後者は「できないことを引いた」結果としての5
だからです。

定型発達をしている人は、目標を「5」に設定すれば
そこに到達するまでの道筋を計画することができます。
たとえ今はできなくても、そのうちできるようになるさと楽観的に見ることもできます。

でも自閉症の人は、道筋を計画することが苦手です。
失敗すると、どうすれば成功に向かうことができるのか計画ができないため、
あたまが混乱します。
99%できたのに、たった1%の失敗で、あたかもゼロになったように感じて
落ち込むこともあります。

だから「無理をさせない」方がよい。
いえいえ「ちょっと頑張らせる」のが成功への近道なのです。

もうひとつ言えば「無理をさせない」というのはただの「方法」です。
同じく「無理をさせる」ことも、ただの「方法」です。
目標でもなんでもありません。

目標と方法とを混同せず、正しく「頑張らせる」ことができるとよいですね。

  ところで、大嫌いな宿泊学習を「無理せず」日帰りで積み重ねてきたK君。
  中3の修学旅行は、自分から普通に泊まると言い、それを実現しました。
  明日その修学旅行の報告を聞く日。
  楽しみだけど、ちょっぴりドキドキ。



短歌のコーナー(5)おにごっこ


  <こどもの気持ち>          <親の気持ち>
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  逃げるのはスリルがあって好きだから、
  ずーっと追いかけられる側でいたいなあ。

  いざ鬼になると、
  相手の行動を予測して先回りしたり、
  方向をさっと変えたりできないから、
  いつまでたっても鬼のまま。

  負けず嫌いも相まって、
  結局泣いたり怒ってみたり。
  「ホント、悔しいよね、ママも経験あるよ」
 
  いろいろな感情も受け入れてあげて、ゆっくり消化させてあげましょう。


短歌のコーナー(4)運動会

 
   
<こどもの気持ち>      <親の気持ち>
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       本当は大して面白くなくたって、
       とりあえずみんなと同じ行動を
       多数派の子どもたちはするのです。

       ザワザワ騒がしい雰囲気は苦手な上に
       興味の範囲が狭いため、
       気分の乗らない行事には意味を見いだせず、
       孤立しがちな少数派。

       やらないことに腹を立てる前に、まっすぐ正直な
       子供の気持ちに、ちょっと寄り添ってみませんか?

アメーバスライム

鎌倉に住んでいるS君に教わって、
湘南海岸で、砂鉄を採ってきました。
目的はアメーバスライムを作ること。

以前から作ってみたかったのですが、砂鉄と強力磁石が手に入らず、
実現していませんでした。

それが今回、砂鉄が手に入り、
超強力磁石も、100ショップで見つけました。
これはもう作るしかありません。

作ってみての感想。        
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たのし〜〜〜〜い。
特にスライムが首をもたげるところは、何度見ても飽きません。

あと工夫するとすれば、もう少しスライムの動きを軽快にすること。
こどもたちのアイデアをかりれば、きっとまたこの問題も解決するでしょう。
誰から、どんなアイデアが飛び出すでしょう。



短歌のコーナー(3)くり返しが 好き



   
<親の気持ち>                <こどもの気持ち>
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 一見意味のわからない行動に
 イライラしてしまうこと、ありますよね。

 常同的な動作をくり返している時、
 こどもは実はとても頑張っている、、、ということがよくあります。

 でもそのくり返しに対して「やめて!」と言ってしまうこともありがち。

 「やめなさい!」を「えらいね」に替えられたら、
 うれしい気持ちになれるかも。

新学期

平成25年度が始まりました。

 今年は、あの子のどんないいところを見つけられるかな?

   毎日いっしょうけんめい考えるから、楽しみにしていてね。

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ところでまたいくつか教材が増えました。

ひとつは、「ヨドバシカメラ」で見つけたスケルトン君。
   作ること自体は、手順通りに作る練習を重ねてきている子どもたちには簡単です。

   
でも肩甲骨がこんなに平らだなんて知らなかった。
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   頭がこんなに重いことも知らなかった。
   テレビでいろいろな情報は手に入るけれど、
   やっぱり自分の手を動かして、実感して、工夫してみることは大切です。



    仲間のハンド君は、骨が苦手で理科の交流学習が心配な、
    中2のH君に 
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    組み立ててもらいました。
    すごい顔でさわっていましたが、
    こうして少しずつ克服してくれるといいな。





もうひとつは、旅行先で見つけたハリガリジュニアです。
   ジュニアはオリジナルよりも簡単です。
   いわゆる早押しゲームなのですが、
   こどもたちは速い! でも集中が持続するのは大人の方。
   結局、カメさんの勝ちです。   
   
    

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リセット

とても嬉しいことがありました。
アズに通い始めて6年目のHちゃん。
初めてきちんと文字を書いてくれたのです。

今の学校に転校するまでは、それはそれはピリピリしていて、
鉛筆を持つ練習ができる状態ではなかったのです。

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前の学校も熱心に指導して下さっていたのですが、
Hちゃん自身、同じ学校では変わることができませんでした。

でも転校することで、リセットできたのでしょう。
みるみるうちに変化していきました。
そして2年。これほどまでできるようになるとは!

今の時期はリセットのチャンス。
進級や進学、就職が、そんな機会になりますように







                      

短歌のコーナー(2)古い靴が 宝物


      <親の気持ち>       <こどもの気持ち>
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   最近、月日の経つのが早くて、、、
   こどもの頃は、あんなにゆったり時間が流れていたのに。

   そう感じるのは、大人になると生活に変化が少なくなるからだそうです。
   こどもの頃は、学校が変わり、友だちがかわり、いろいろな行事があり、と
   変化の大きい日々を過ごしていたのですよね。

   一部の自閉症のこどもたちにとって、変化は大敵。
   足が大きくならなければ、靴だって換える必要はないのに。
   
   変わることも楽しいんだって感じてもらえたらいいな。


短歌のコーナー(1) Gパンが 痛い

 
       縁あって 親子になった わたしたち
        どんな気持ちで すごしていますか?

       不定期にですが 歌を つくります
        あるある、、と 笑ったり
        ふーん なるほど、、と 思ったり
        たのしんで くだされば うれしいな



       <親の気持ち>              <こどもの気持ち>
  Pasted Graphic   Pasted Graphic 1

                  はき慣れた靴がいい
                  からだに馴染んだT−シャツがいい
                  新しい靴なんて、ジーンズなんて、まっぴらごめん

                     親は、せっかく素敵な格好をさせてあげようと思っているのに、、、

                  いろいろな場面で起きる
                  親子の気持ちのすれ違い、
                  田尾さんの短歌、大久保さんの挿絵でお届けします。
                    
                      次作を お楽しみに